Apple社製の持ち物追跡トラッカー、エアタグ。エアタグをバッグに入れたり鍵などと一緒にしておいたりすれば、エアタグが現在どこにあるか、アプリひとつでマップから確認できるというものです。
購入後、カンタンな設定で使えることも人気のポイント。しかも利用料はかからず、購入してしまえば約1年ごとの電池交換のみでずっと使えるというコスパの良さも相まって、発売当初からの人気アイテムです。
それって、もしかして子どもの見守りにも使えるんじゃない?
と思った方も多いのではないでしょうか?
結論は
子どもの見守りにも、使えます!
ただし本来の用途はあくまでも、持ち物につけて紛失を防止するもの。販売元のApple社は、「人の位置情報追跡に使うこと」を推奨していません。
せっかく購入しても
思っていたのと違う・・・
これじゃ使えないなぁ・・・
とならないよう、この記事では
エアタグを子どもの見守りに使える!?
をテーマに、実際に購入し1年間使用してみた著者キリコが徹底解説し、疑問を解決しちゃいます。
【この記事で解決できる、AirTag(エアタグ)のこと】
- 子どもに持たせて見守りに使える?
- スマホで位置情報確認するのと何が違うの?
- 価格は?毎月いくらかかる?結局、コスパはどうなのかな
- 設定は難しくない?使い方がややこしいのもムリ・・・
- 子供が乱暴に扱って壊さないか心配
そもそも、エアタグって何?
AirTag(エアタグ)とは
AirTag(エアタグ)は、Apple社が2021年に販売を開始した、ボタン状の電子機器のこと。
自分の持ち物と一緒にしておくことで、紛失したときに自分のiPhoneから探すことができるというものです。
例えば
・財布が見当たらない!どこかに落としたかも?
・カバンを電車の中に置き忘れた!
といったときに、スマホアプリで探すことを目的としています。
エアタグの位置を確認するためにはiPhoneアプリ「探す」を使用するため、残念ながらAndroidユーザーは使うことができません。また、iPhoneユーザーであっても、iOS 14.5以降が搭載されたデバイス(iPhone、iPadなど)が必要です。
AirTagのサイズ
サイズ | 直径31.9mm×暑さ8mm |
重量 | 11g |
直径は500円玉程度で、財布に入れたりバッグにつけたりできる大きさ。1枚7gの500円硬貨2枚よりも軽い計算になります。
防水だから、わんぱくキッズでも安心
AirTagは「防沫性能」「耐水性能」「防塵性能」を備えていて、最大水深1メートルで最大30分間耐えられる性能になっています。
特にAirTagの耐水性能は、実験室の管理された条件下でのテストで実証され、「IEC規格60529にもとづくIP67等級に適合している」と正式な資格も有しています。
詳しい仕様についてはこちら
こちらをタップすると詳細な仕様が確認できます
防沫性能、耐水性能、防塵性能 | IEC規格60529にもとづくIP67等級(最大水深1メートルで最大30分間) |
接続 | Bluetoothによる近接検出 Apple製U1チップで超広帯域および「正確な場所を見つける」機能に対応 紛失モードに対応するNFCタップ |
スピーカー | 内蔵スピーカー |
バッテリー | ユーザーが自分で交換できるCR2032コイン型バッテリー |
センサー | 加速度センサー |
アクセシビリティ | 「探す」アプリは以下のiPhoneのアクセシビリティ機能に対応します。 ・VoiceOver ・色を反転 ・さらに大きな文字 ・点字ディスプレイに対応 |
システム条件と互換性 | Apple ID iOS 14.5以降を搭載したiPhoneおよびiPod touchのモデル iPadOS 14.5以降を搭載したiPadのモデル |
動作環境 | 動作時環境温度:-20°〜60°C |
同梱物 | AirTag(CR2032コイン型バッテリー搭載) マニュアル |
安い本体価格&維持費ゼロで最高のコストパフォーマンス
2024年1月現在、エアタグの販売パッケージは1個または4個セット。
Apple公式サイトでの価格は、以下のとおりです。
1個 4,980円(税込)
4個 16,980円(税込)
本体を購入すれば、月額料金などの維持費は一切かからないのが最大のメリット。また、コンビニでも購入できるボタン電池を採用していて、1年間は交換いらずです。
Amazonや楽天などのECサイトでは、公式サイトよりリーズナブルに購入できます。
公式では販売されていない、2個セットなども購入できます。
子どもの見守りにAirTag(エアタグ)は使える?
冒頭でお伝えしたように、本来の目的ではないことの理解は必要ですが、
ただし本当の意味で「使える」と言い切れるかどうかは、それぞれのご家庭での使用目的や地域性によると言った方が正しいかもしれません。
使う人によってはメリットがデメリットになることも。しっかり把握して、便利に使いましょう。
エアタグはGPSじゃなくてBluetooth
勘違いされがちですが
エアタグってGPS機器の一種でしょ?
という情報は、誤りです。
実は、エアタグはGPS機器ではなく、Bluetoothタグという位置づけ。Bluetoothタグ(エアタグ)とGPS端末では、位置情報取得の仕組みが異なるんです。
GPSってよく聞くけど、実際のところは何だかよくわからない。でも今さら人に聞けない・・・!という方のために、簡単に解説します。
そもそもGPSって何?
GPSとは、グローバル・ポジショニング・システム(全地球測位システム)の略です。地球上での現在地を衛星によって測定するためのシステムです。
G lobal
P ositioning
S ystem
つまり、GPS端末と衛星が直接通信をすることで、リアルタイムに居場所が特定できるというもの。
エアタグの位置情報取得の仕組み
GPSによって位置情報を取得されている、見知らぬ誰かのiPhoneその他のApple端末
その端末の10m以内にあるエアタグが、Bluetoothによって位置情報を取得
エアタグが取得した位置情報をアプリで見ることができる
つまりエアタグって、自分がGPSの機能をもっているわけではなく、町中にあふれているiPhoneユーザーに、GPSの機能を頼っているということになるんです。
使えるかどうかは地域や目的で判断して
エアタグが単体では機能しない、他人のiPhone頼みということは、
iPhoneユーザーが近くにいない環境では位置情報を把握できない
ということ。
例えば通学路が山道でiPhoneを持っている大人が近くにいない状態だったり、学校の先生がiPhoneユーザーだったとしても、職員室にiPhoneをおいてあったりすれば、Bluetooth通信ができないため位置情報は把握できません。
その場合は、最後に通信できた場所と時間が表示されますが、なかなか更新されず、イライラすることも。
メリットとデメリット
GPS端末のデメリットをカバーできるほどのメリットを持つエアタグですが、リアルタイムで完全な位置を把握したいならエアタグはオススメできません。
メリット・デメリットをしっかり把握したうえで、便利に利用しましょう。
- ランニングコスト(維持費)がかからない
-
本体を購入すれば、月額料金などはかかりません。
AirTagは、ボタン電池(CR2032)で稼働しています。この電池はコンビニなどでも手軽に購入できるのも魅力。電池は1年は持つとされていて、実際に我が家でも1年間は交換の必要はありませんでした。
電池容量が少なくなってくると、「探す」アプリに表示されるので、知らない間に電池切れ・・・なんていう心配もありません。
- リーズナブルな本体価格
-
一般的なGPS機器と比較すると、断然リーズナブル。維持費がかからないことも含め、一般的な見守り用GPSと比べてコスパは非常に良いと言えます。
- 他のBluetoothタグと同様、サイズ感が小さく軽い
- iPhoneユーザーが圧倒的に多い=位置情報提供端末の絶対数が多い
- リアルタイムに更新されない
- 近くにAppleユーザーがいないと位置を確認できないため、安定性に欠ける
こんな目的なら是非エアタグを!
- 多少のタイムラグは許容範囲なので、できるだけリーズナブルにしたい
- 帰宅ルートを把握することで、安心材料のひとつにしたい
- まだ学校にいるのか、それとも帰宅途中なのか、という程度の情報で十分
- 万が一の時に、少しでも居場所についてのヒントが欲しい
- 迎えに行くときにすれ違いを防止する程度の目的で、大まかな居場所を把握したい
こんな目的なら別の選択肢を!
- 子どもが小さく、エアタグの誤飲等の危険がある
- リアルタイムで完全な位置情報が知りたい
- 通話機能や防犯ブザー機能が欲しい
- 行動範囲にiPhoneユーザーが全く存在しない
子どものプライバシーを尊重して
昨今のニュースをざっと見るだけでも子どもの行方不明事案・事故・事件などが相次いでいて、日本の治安に不安を覚える子育て世代のママ達は多いと思います。
それでも、子どもが小学生にもなれば、友達と遊ぶ機会も増えますよね。いつまでも一緒に公園に付き添うわけにもいきません。
そこで、GPSやエアタグの見守りが威力を発揮するのです。
ただし、エアタグを持たせて位置情報を親が把握できる状態ということは、子どものプライバシーに干渉するということ。
子どもといえど、ひとりの個人。プライバシーは尊重すべきものです。
- 子どもに苦しい・痛い思いをさせるような、悪い大人がいること。
- 子供が悪いことをしなくても、怒る大人がいること。
- 車に乗せられて、どこかに連れていかれることもあること。
このような「万が一の時に子どもを守るためにエアタグを持つ」という目的を伝え、理解したうえで身に着けてもらうことが大切です。
どう持たせるのが最善か
そのままランドセルや水筒カバーの中に
学校に行くときに身に着けたいなら、ランドセルのファスナーポケットへ。ケースなどは使わずそのまま入れても問題ありません。
水筒カバーに縫い込んだり、お守りに忍ばせるのも◎。水筒をどこかに忘れてきがちな子どもにも、本来の「紛失防止タグ」として役立つこともありそうですね。
キーホルダー型
ランドセルにキーホルダーOKな学校であれば、キーホルダー型のケースを使うと便利です。
遊びに行くときにはベルトループに、習い事のときはスクールバッグにと、カラビナひとつで付け替えが簡単なので、便利です。
リストバンド型
腕時計のように手首に巻けば、失くす心配もなく、プラプラしないので邪魔にもなりません。ポケットがない服でも身に着けられます。一方で、周りの人にエアタグの存在をアピールしてしまうことになってしまうというデメリットも。
いざというときに外されてしまったら元も子もありません。上着で隠れる季節に限定するなど、工夫が必要です。
ワンちゃんの首輪用ケースもあります。万が一お散歩中に迷子になったときのために、つけてあげるのもいいですね。
エアタグの設定と位置情報の把握のしかた
1分でできる!設定方法は超簡単
事前準備
まずは、利用できる端末であることの確認が必須。
「探す」機能が利用できるのは、iPhone11以降の端末でiOS 14.5以上のもの。最新のOSにアップデートしておきましょう。
設定のしかた
エアタグを購入したら、設定はiPhoneに近づけるだけ!以下の手順で設定します。
・AirTagの名称を設定する(例:「太郎のエアタグ」など)
・「このiPhoneを使用」をタップ
・「Apple IDにAirTagを登録」画面で「続ける」をタップ
次のステップで使用する「探す」アプリがない場合、ダウンロードしておきましょう。
実際に位置情報を取得するには
エアタグの位置情報を把握するのも、簡単3ステップ!
たったこれだけで、マップ上にエアタグが最後に検出された時間と場所が表示されます。
便利な使い方
子どもが出かけるたびに「〇〇が手元から離れました」と通知が来るのを何とかしたい
この通知はデフォルトでオンになっていますが、以下の操作で通知をオフにできます。
①「持ち物を探す」→「該当のエアタグ名称」をタップ
②「手元から離れたときに通知」をオフ
③「完了」をタップ
なかなか更新されないときは「検出時に通知」
iPhoneを持っている人とすれ違うことなく、なかなか位置情報が更新されないこともあります。
そんなとき、更新されるまで画面を見続けるのは時間の無駄。
メニューを開いて「検出時に通知」をオンにしましょう。次に検出されたときにプッシュ通知で知らせてくれ、検出されると自動的にオフになります。
「検出時に通知」がオンできない場合
操作しているiPhoneと対象のエアタグがBluetooth接続されている場合(10m以内にある場合)には「検出時に通知」ボタンが選択できないようになっています。10m以上離れてBluetooth接続を切断してから、再度おこないましょう。
エアタグの場所までマップ経路を教えてくれる
メニューから「経路」を選ぶと、エアタグのある場所までマップで経路を教えてくれます。ただし、最後に検出された場所が表示されるため、現時点での位置情報と異なる場合がある点に注意が必要です。
サウンドを再生してエアタグを探す
メニューの「サウンドを再生」をタップすれば、エアタグが鳴音して居場所を教えてくれます。近くにあるはずなのに見つからない!といったときに便利です。
勝手に音が出るって聞いたけど?
Apple社によると、エアタグが持ち主から長時間(8~24時間)離れたままになっていると動かしたときにランダムに エアタグで音が鳴る、とあります。知らない間に他人のエアタグを自分の持ち物にこっそりと忍ばせられ、自宅を特定されてしまうなど、ストーカー犯罪などの対策としての仕様とのこと。
Apple社では音を出すすべての詳細な条件を公開していませんが、一般的に子どもが学校に行っている間を想定すると、8時間はギリギリのライン。ですが、まわりでエアタグをランドセルに入れて使用している方に話を聞く限り、学校で鳴ってしまったという話は聞いたことがありません。
我が家でも、子どもが家を出てから帰宅するまで最長約13時間ほどですが、今まで一度も音が鳴ったことはないと言います。(通学途中の車どおりが多い場所や、部活動中に気づいていないだけの可能性もないとは言い切れませんが)
セーフティ通知って?
「セーフティ通知」とは、自分のiPhoneと他人のエアタグが一定時間一緒に行動した場合などに、自分のiPhoneに表示させる機能のこと。
例えば、親が登録しているエアタグと、子どもが持ち歩くiPhoneが一定時間一緒に行動した場合、子どものiPhoneに「〇〇さんのAirTagがあなたの近くで見つかりました」というセーフティ通知が表示されることがあります。
これは明確に、メニューからセーフティ通知をオフにすることが可能です。
よくある疑問
誰かに居場所が漏れることはないの?
個人情報は完全に守られており、そのプロセスは完全に匿名でプライバシーが侵害されるようなことはありません。
経由したiPhoneが誰のものかAppleですら知り得ないとか。言ってみれば自分のiPhoneも知らないうちに誰かのAirTagを探すお手伝いをしているということですね。
すべてのApple製品と同様に、「探す」アプリはあなたが自分のデータを管理できるよう設計されています。デバイスの位置情報がAppleに送信されるのは、あなた自身がデバイスの位置を特定しようとしている時、紛失モードを有効にした時、「最後の位置情報を送信」をオンにした時だけ。データはAppleのサーバ上で暗号化され、24時間以上保存されることはありません。「探す」ネットワークを使った時も、関わったすべての人の個人情報が守られ、Appleもそれを知ることはできません。
Apple公式サイト
落とした時はどうすればいい?
エアタグ(つけた持ち物)を落としてしまった場合、すぐに「探す」アプリを開いて位置情報を確認しましょう。
その際、メニューから「紛失モード」を設定する選択肢もあります。
【紛失モードとは】
エアタグを拾った誰かが落とし主に連絡したいと思った場合、手持ちのiPhoneもしくはAndroidスマホをエアタグにタッチさせると、その人のスマホに落とした人の名前・電話番号・「拾った方はこちらに連絡ください」など任意のメッセージを表示させることができます。
これはNFC技術(PaypayやSuicaなどのタッチ決済に利用される技術)を応用したもの。androidでも表示させられるのは便利ですね。
個人情報を表示させるのが不安だという方は、紛失モードにはせずに一刻も早く位置情報を確認して回収に行きましょう。紛失モードにしていなければ連絡先などは表示されません。
また、エアタグを拾った人に盗まれてしまうのでは?という疑問も残ります。
でも大丈夫!紛失モードにしておけば、エアタグは「ペアリングロック」が自動的にかかる仕様。たとえ誰かが自分で使ってしまおうと思っても、ペアリングできないので安心です。他人にとってはただの置物ということですね。
落ちているエアタグを見つけた場合
落ちているエアタグを見つけても、絶対に持って帰らないで!
エアタグを家に持ち帰ってしまうと、エアタグ所有者に現在地(=自宅)を把握されてしまいます。
悪意ある相手の場合は、盗んだなどと言いがかりをつけられるなどのトラブルになりかねません。
対処の方法は3つ。
- すぐに交番に届ける
- 自分のスマホを近づけて、紛失モードになっていたら相手に連絡してあげる
- エアタグ所有者が位置情報を把握して回収されるよう、そのまま置いておく
個人的に推奨するのは、③のそのまま放置する、というもの。
お財布などと違い、持ち主はスマホからエアタグの場所を特定できます。万が一のトラブルを避けるためにも、放置をお勧めします。
もし子どもが落ちているエアタグに遭遇した場合には、持ち帰らないよう伝えておきましょう。
身に覚えのないエアタグが自分の荷物から出てきたら
万一、紛失モードになっていないエアタグが自分の荷物から出てきた場合、または自分のiPhoneに通知が表示された場合には、誰かに位置情報を追跡されそうになっているかもしれません。
それは、ストーカー行為の第一歩かも。
すぐに画面の指示に従ってAirTagを無効化しましょう。すると、エアタグの持ち主はエアタグの位置情報を取得できなくなります。
まとめ
町中にいるiPhoneをもった大人たちが、位置情報を介して子どもを見守ってくれている と思うと心強いですよね。
使い方によっては、子どもの見守りにはとても有用なエアタグ。もちろん、本来の用途としても活躍します。
実は、先日、我が家でも自宅のカギを失くしてしまって大慌てしましたが、無事に手元に戻ってきました。その時に活用したのも、エアタグでした。
上手に活用して、安心安全な毎日を!